飲食店の仕事がしんどかった。
休みはほとんどなく、寝る時間も少なかった。当時付き合っていた彼女からは「仕事と私どっちが大事?」と詰められる日々。
限界だった。
ある日、仕事を飛んだ。
飛ぶ前日、何事もなかったように過ごした
飛ぶ前日は休日だった。
同僚には「明日もよろしく」と電話で軽く雑談をこなした。そのそぶりは一切見せなかった。
裏では、引っ越しの梱包作業をしていた。
当時働いていた飲食店の社長には家の場所を知られていたので、引っ越す必要があった。引っ越し先は、当時付き合っていた彼女の家。
車がなかったので、唯一の友人に手伝ってもらい、車も出してもらった。作業は翌日の早朝までかかった。
全ての作業を終えたあと、もう二度と戻ってこれないので、忘れ物がないか入念にチェックした。
その後、まだ誰も出勤していない店舗に向かった。施錠されていないシャッターがあったのでそこから入り、預かっていた店の鍵を机の上に置いた。
そして、飛んだ。
その朝、まず携帯電話の電源を切った。次に携帯ショップへ向かい、電話番号を変えた。
続いて不動産屋に電話した。解約の旨、立ち会いはできないこと、そして「会社の者から問い合わせがきても詳細は話さないでほしい」と伝えて電話を切った。
やはりその後、社長から強めの問い合わせがあったらしい。保証金の返金手続きで電話がかかってきたとき、担当の営業マンがそう漏らしていた。
西成に身を潜めた
その後は髭を伸ばし、街を歩くときは深く帽子をかぶった。顔バレしないように過ごした。
引っ越し先は大阪・西成。当時はまだ、今みたいに食べ歩き客が頻繁に訪れるような町ではなかった。身を潜めるには最適な場所だった。
仕事を探すふりをしながら、実はパチンコをし続けていた。
彼女もパチンコ好きだった
彼女にパチンコがバレた。
そしたら彼女もパチンコ好きをカミングアウトしてきた。
そこから、毎日仕事もせず、二人で相乗りしていた。勝った負けたで一喜一憂しながら、その日暮らしで生きていた。
先のことは全く考えていなかった。ただ朝から晩までパチンコをしていた。
楽しかった、と今でも思う。
パチンコの帰りにゲーセンにもよく行った。UFOキャッチャーでPS2が景品に置いてあって、2万ほど突っ込んだこともある。(泣)
通い続けるうちに店員と仲良くなり、たまに取りやすい置き方をしてくれたり、「曜日によって設定が変わる」と教えてくれたりもした。
金の使い方がバグっていた。
金がなくなるとイライラする
しかし金がなくなってくると、人は変わる。
イライラしたり、喧嘩したり。パチンコ屋の中でも、路上でも、けっこう声を荒げていた。
今思うと、やばいし情けない。だが当時はパチンコのこと以外、何も考えていなかった。
消費者金融で初めて借りた
初めて消費者金融でお金を借りた。
当時は簡単に借りられた。偽物の給与明細を使い、彼女のバイト先に審査確認の電話が入ると、彼女が出て対応した。
20万円。
そのとき、本当にありがたいと思った。
今考えると、ここが一つの転落点だったと思う。借りられることがわかってしまった。
この20万円を手に、私はようやく「生活を立て直そう」と就職活動を始める。
しかし向かった先は、またパチンコに関わる場所だった。
→ 後編「パチンコ屋の店員になった話」へ続く
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